1RMは限界まで挙げずに推定できる?スマホで測る負荷-速度関係の研究
1RM(1回だけ挙げられる最大重量)は、トレーニングの強度を決める基準になります。ただ、限界の重さを挙げるテストは時間がかかり、選手への負担もあります。2019年の研究では、最大重量を挙げなくても、軽めの重量での挙上速度から1RMをかなり正確に推定できることが、マシン種目でも確かめられました。測定に使ったのはスマートフォンのアプリです。
この研究は何を調べたか
Balsalobre-Fernándezらによる研究です。筋力トレーニングの経験が2年以上ある男性15名(平均33.6歳)が、レッグエクステンションを両脚と片脚で行い、軽い重量から少しずつ重くして1RMまで挙げました。
挙上速度は、iPhoneのアプリでマシンの重り(ウエイトプレート)が上がる様子を240fpsのスローモーションで撮影し、動いた距離と時間から計算しました。そのうえで、選手ごとに「重さと速度の関係(負荷-速度関係)」の直線を作り、90%1RM未満の重さのデータだけから1RMを推定して、実際に測った1RMと比べました。
分かったこと
- 重さと速度の関係はきれいな直線になった: 選手ごとの直線への当てはまりは非常に高く(両脚 R²=0.96、片脚 R²=0.93)、誤差も小さいものでした
- 推定1RMと実測1RMはほぼ一致: 両者の相関は r=0.88〜0.96で、統計的な差はありませんでした
- 両脚と片脚では関係が違う: 片脚では、同じ%1RMでも速度の値が両脚と異なりました。両脚の関係をそのまま片脚に使うことはできません
著者らは、バーベル種目だけでなく、マシンの単関節種目でも、重りの速度を測れば負荷-速度関係を作れると結論づけています。
現場でどう読むか
- 最大挙上を毎回しなくても、強度の目安を更新できる可能性があります。試合期など、限界まで挙げるテストを避けたい時期に役立つ考え方です
- 負荷-速度関係は種目ごと、両脚・片脚ごとに違います。ほかの種目の関係を流用せず、その種目で作る必要があります
- 測定は、毎回最大の速さで挙げる、可動域をそろえるといった条件をそろえて初めて意味を持ちます
限界として、対象は筋トレ経験のある男性15名、種目はレッグエクステンションだけです。フリーウエイトの種目や、女性、ジュニアにそのまま当てはまるかは分かりません。
アスコンでの活用
アスコンアプリでは、トレーニングの重量と回数を記録すると、推定1RMが自動で算出されます(最大挙上をしなくても、記録から目安を出す仕組みです)。その推定1RMをもとに、%1RMで強度を管理できるので、限界の重さを毎回測らずに、日々のトレーニングの強さを決められます。
まとめ
- 軽めの重量での挙上速度から、1RMをかなり正確に推定できた(r=0.88〜0.96)
- マシンの単関節種目でも、スマートフォンでの撮影で負荷-速度関係を作れた
- 関係は種目・両脚/片脚ごとに違う。対象は男性15名・1種目のみという限界がある
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