データ分析・AI
スポーツのAI研究は誰のデータ?58研究のレビューで見えた育成年代の空白
「AIが選手のパフォーマンスやケガのリスクを予測する」。そんなニュースを目にする機会が増えました。では、そのAIはどんな選手のデータから作られているのでしょうか。 チームスポーツでのAI研究58本を整理した2019年のレビューによると、対象選手の76%はプロで、ユースアカデミーの選手は10%、女性は3%にとどまっていました。育成年代のデータは、世界的に見てもまだ少ないのが現状です。
この研究は何を調べたか
Claudinoらが2019年に発表したシステマティックレビューです。PubMed、Scopus、Web of Scienceの3つのデータベースから、チームスポーツの選手にAIの技術・手法を使った研究を探し、次の2点を整理しました。
- パフォーマンスとケガのリスクを調べるのに、どんなAIの手法が使われているか
- どの競技で、どの手法が使われているか
最終的に58本の研究が対象になりました。
分かったこと
1. 手法は11種類、競技は12 AIの技術・手法は11種類で、12のチームスポーツで使われていました。よく使われていたのは、人工ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、マルコフ過程で、いずれも良好な性能指標が報告されていました。応用が多かった競技は、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、バレーボールです。
2. 研究の4分の3はパフォーマンス 58本のうち43本(74%)がパフォーマンスに関する研究で、ケガのリスクを扱ったものは15本(26%)でした。パフォーマンスの研究の88%は、技術・戦術の分析です。
3. 対象選手はプロ・男性に偏っている サンプル数を報告していた研究の対象者は合計6,456人でした。内訳は次のとおりです。
| 区分 | 割合 |
|---|---|
| プロ | 76% |
| ユースアカデミー | 10% |
| 大学 | 9% |
| セミプロ・U18代表 | 5% |
| 引退したプロ | 2% |
性別は男性が97%、女性が3%でした。競技別では、サッカー26%、バスケットボール22%の順に多くなっています。
4. 結論: 期待は大きいが、検証はこれから 著者らは、発表された研究の数から見てチームスポーツでのAI活用は広がっており、今後が期待できる分野だとしています。一方で、それぞれの手法が実際にどれだけ正確に予測できるかを確かめるには、前向きの方法で検証する研究がさらに必要だと結論づけています。
現場でどう読むか
このレビューは「AIが役に立たない」と言っているのではありません。分かるのは、いま報告されているAIの研究成果が、主にプロの男子選手のデータにもとづいているということです。
育成年代の指導者は、次の点に気をつけて読むのが現実的です。
- プロのデータから作られた予測を、中高生や女子選手にそのまま当てはめない
- 「良好な性能指標」は研究の中での数字。自分のチームで同じ精度が出るとは限らない
- AIの話題は技術・戦術の分析が中心で、体力やコンディションの研究はまだ少ない
論文自体の限界もあります。対象はチームスポーツだけで、個人競技に当てはまるかは分かっていません。また、研究によってサンプル数に大きな差がありました。著者らはその理由として、対象の多くがプロ選手で、競技によっては大きなサンプルを集めにくいことを挙げています。
アスコンでの活用
AIが育成年代でも役立つようになるには、まず同じ方法で、続けて集めたデータが必要です。その土台づくりは、AIの完成を待たずに今日から始められます。
アスコンアプリでは、体力測定の記録を残すと、前回からの変化やチーム内のランキング、A〜Sのグレードがすぐに確認できます。選手は毎日スマートフォンからコンディションを入力でき、一人ひとりの直近14日の平常値と比べたズレを4段階で表示します。測定と日々の記録を同じ形で積み重ねておくことが、自分のチームに合った判断の材料になります。
まとめ
- チームスポーツのAI研究58本のうち、74%はパフォーマンスに関するもの
- 対象選手はプロが76%、ユースアカデミーは10%、女性は3%で、育成年代のデータはまだ少ない
- AIの予測をうのみにせず、まずは自分のチームのデータを同じ方法で続けて集めることが大切
この考え方を、毎日のコンディション管理に。
アスコンアプリは、選手ごとの平常値からのズレを自動で判定します。30日間無料・カード登録不要。
30日間無料で始める